ダーズンローズの花よ舞え

平和の為には時に犠牲も必要になる話

視点…スヴァーレット・ネグルト


自分にかけられた黒魔導の呪いが解けたあの日から約2週間と少しの時間が過ぎた。

ジャックから"いきなり体を動かすと波動を受けた時の痛みがもしかしたら体に出てくるかもしれないから、体を極力動かさずに部屋で安静にしているように"と言われたからのんびりと部屋で過ごしていた。

あの後ジェンナからは おバカ、おバカ、おたんこなす、あんぽんたんと俺に怒りながら ポカポカ、と軽く胸を殴られてしまったが…。

怒っている本人に向かってそんな所も可愛いとは口が裂けても言えない。

なんてここ最近の出来事を思い出しているとコンコン、と扉をノックする音が聞こえてきた。

ジェンナだろうか、また俺に会いに来てくれたのか?

と思ったらジェンナではなくジャックがいた。

驚いたが特に隠す理由もねぇんで部屋に招き入れた。


「やぁやぁスヴァーレット君、ご機嫌よう。あれから体調はいかがかな?」


あいつは自らの正体がバレても、あの一件に巻き込まれる前と変わらない笑みを俺の前に浮かべていた。


「あぁ、ジャック。俺は何ともないですよ。ご覧の通り元気です。」


元に戻ったばかりで体がどこかぎこちなく、手足が多少傷んでいた体も休養を重ねて何とか痛みは収まった。


「それは良かった!…まぁ僕がここに来た理由、勘の良い君なら既に分かっているだろうけど…君にお願いがあるんだ。良いかな?」


…やっぱり俺に何か用があったらしい。

俺が痛みを理由に断っていたら、きっと他の奴らに言うつもりだったんだろうな。


「…構わない、なんでしょう?」


「内容は言えないんだけどとーっても重要な事なんだ。だから、夜の8時に仲間達を全員集めて僕の薔薇庭園に来てくれるかい?」


夜の8時に仲間全員で薔薇庭園。

特にこの日の夜は何もなかったはずだ。


「…なんだ、そんな事ですか。分かりましたよ。」


「本当かい!ありがとう!助かるよ、じゃあ僕は急いでいるからまた後でね!」


ジャックは言いたい事を済ますとさっさと部屋を出て行ってしまった。


「…重要な事…か。」


重要な事、なんだろうか。

内容が気になるが時計を見ると午後1時…まだまだ時間がある。

ちょっと遅くなったが昼飯にしよう。

…軽く運動しながら外で昼食にしようか。

そうと決まればと ササッと髪を梳かし身支度を整え、外に出た。


_____________________________


あっと言う間に夜の8時。

俺は言われた通りに仲間を集め、共に薔薇庭園にやってきた。

当のジャックはズズ…と優雅にコーヒーを啜っている。

…ん?ニュロとオロニがいない?

どこに行ったんだ?遅刻か?

だが、ジャックは2人の到着を待たずしてソーサーにカップを置き、俺達に話始めてしまった。


「やぁ諸君、こんな夜に呼び出してしまってすまないね!」


そう言いながらジャックは懐から1枚の手紙を取り出してきた。

手紙…誰からだろうか?


「実は"元"依頼人…サラール・デスグラシアからこんな物が僕宛てに届いてね。僕が仕事が終わって帰ろうとしてふと空を見たら手紙が降ってきたとこのザマさ。…本当、どこまで僕を見下げれば気が済むんだろうね。あの人間君は。」


ブツブツと小言を言いながらカサカサと手紙を開く。

…サラール・デスグラシア。

俺を含めた一部の仲間に黒魔導による呪いをかけ薔薇に戻し行動を妨害してきた男、しか俺にはよく分からない。

何せその間、俺は薔薇に戻っていたのだからな。


「今から僕が読んで聞かせてあげるからちゃんと聞くように。」


"親愛なる便利屋殿"


お前が生きている事もダーズンローズが人間に戻ったのも俺には分かってんだよ。

お前らが生きていると邪魔で邪魔で仕方ないんだ。


あいつらは、生花だからいずれ枯れちまうダーズンローズを乾燥して、ボックスにいれてとっておいて死ぬときに棺に入れて死者の国でも思い出のダーズンローズを持っておきたいと話していやがった。

だけどよ、ダーズンローズを物ではなく人にしちまえばその夢は叶えられなくなるだろう?

だからわざわざ便利屋を頼ってダーズンローズを人間にしてもらったんだ。

思い出の品をどちらかの棺に入れるという夢も奪われ、愛する人も殺され、裏切った相手と無理心中するというビアンカにはとにかく絶望して死んでほしかったからさ。

婚約者の俺を裏切ったんだ、当然の報いだろう?

夫婦を探してほしいと言ったのも最初から俺は便利屋なんて嘘くせぇのは信用しちゃいねぇ、どうせただの薔薇なんだから探せないだろうとお前を、ダーズンローズを甘く見ていたのが俺の最大の誤算だった。

だから、俺自身がケリをつけてやるのさ。

お前の魔導で人間になったダーズンローズと、お前自身をな。


…無駄話はここまでにするか。

○月△日、午後□時 ライゼスダフォルで待つ。

約束の日付と時間までに来なかったら夫婦の命はないと思うんだな。

まぁお前らがのこのこやってきたその時は今度こそお前も、ダーズンローズも黒魔導で薔薇も、お前らが生きていた存在ごと全部消してやるよ。


"サラール・デスグラシア"


手紙を呼んでいる最中も怒りが顔に出ていたが、読み終わった途端限界だったのか手紙をグシャグシャと丸めたかと思うと近くにあったダストボックスに投げ捨ててしまった。


「…諸君。」


ダストボックスからゆっくりとこちらに顔を向ける。


「30分だ。荷物をまとめて船に乗る準備したまえ、今から船に乗るよ。大丈夫、ルタの港の船着き場の一部を借りてそこに船は停めてあるからさ。」


え!?今から!?

いきなり?!朝になってからじゃダメなの!?

と、慌てふためく声が後ろから聞こえてくる。

無理もない、こんな夜に出掛けるんだ。

しかし、ジャックは読んでいたかのようにその言葉を一掃する。


「諸君。朝まで待っていたら待ち合わせの時間に間に合わないだろう。ほら、もたもたしない。荷物があるなら早く取ってくるんだ。2人を待たせる気かい?」


慌てて一部の仲間達は荷物を取りにいってしまった。

…拒否権はない、か。

無論、拒否するつもりはないんだがな。

なんて悠長に考え事をしている場合じゃない。

早く準備をしないと置いていかれる。

俺達は急いで準備を済ませ ルタの船着き場でニュロとオロニと合流し船に乗り込んだ。


_____________________________


長い時間船に揺られ、約束した日付と時間通りライゼスダフォルにやってきた。

船を降り、しばらく辺りを探していると例のあの男とご夫婦が崖の近くに立っていた。

俺達が黒魔導による呪いに侵されている間、あの男…サラール・デスグラシアに何をされていたかは分からんが夫婦は大分憔悴していた。


「旦那様…奥様…!」


ジェンナの声に反応したサラールはまるで 待っていたと言わんばかりにこちらを振り向く。


「…おう。待っていたよ、便利屋殿?」


コツコツ、とサラールはジャックに近寄る。


「…やぁ"元"依頼人君。会いたかったよ。」


ジャックはサラールに向かい笑顔を浮かべている。

しかしその笑顔は俺達に見せている笑顔とは違う、自分の顔に対してよくも泥を塗ってくれたなと言わんばかりのひしひしと恨みが伝わりそうな笑顔だ。


「俺も。ほら、再会の記念に俺と握手でもしようぜ?」


サラールはジャックに向かい、右手を差し出してくる。

しかし、ジャックはサラールの右手をバシッと払い除ける。


「生憎だが僕は極力自分の体は兄さんにしか触れさせたくない性分でね。ましてや人間君、君みたいな薄汚い人間君に触れられるなんてとてもではないけど反吐が出てしまうね。」


言いたい放題言われたサラールはあからさまに不機嫌になる。


「ふーん、それは残念だ。とても、とても…。」


とても残念そうには見えないニヤニヤとした笑みを浮かべながらサラールはジャックに指を向ける。

…あれ、このままだと"あの時"と同じじゃないか…?

しかし、ジャックはサラールの動きを読んでいたかのようにニコ、と微笑む。


「…かかったね?」


また”あの時”と同じ波動を出すのかと思い、身構えていると出てきたのは…可愛らしいクマの形をしたグミだった。

何だ?何が起こった?と言わんばかりにサラールは必死にパチン、パチンと指を鳴らすが、サラールの手からは波動は愚か害のありそうな魔法の1つも出てきやしない。

出てくるのはチョコレートやクッキー、キャンディにビスケット等いかにも甘そうなお菓子だけ。


「……何しやがった?」


サラールはジャックの胸倉を掴むが、自分に触るなと言わんばかりに パァン、と思い切りサラールの腹を蹴った。

蹴られると思っていなかったのか受け身をする余裕がなかったサラールはその場に蹲る。

初めて見せる苦悶の表情に これだ、これが見たかったと言うようにジャックはニコニコと満面の笑みで笑っている、…こいつは悪魔か何かだろうか?


「君がどういった経緯であれ黒魔導を使うのは身を持ってよーく分かったからね。悪いけど君の黒魔導…と言っても呪術のみだけど封じさせて貰ったよ。…それと、ご夫婦は返して貰うよ。君のせいで依頼はおじゃんになったけどあの子達には色々と苦労をかけているからね、最後まで面倒をみてあげる事にしたのさ。」


いつの間にかジャックは蹲るサラールの隙を見てご夫婦の身柄を奪っていたらしい。

ご夫婦は安堵からなのかジャックが眠らせたのかは知らないが気絶しているようだ。


「ね、ニュロ?兄さん?」


後ろを振り向くと、ニュロとオロニが立っていた。

そういえばあいつの能力…なるほど、そういう事か。

あいつの能力で有害な物をお菓子に変えているのか。


「……。」


「えぇ…。わたしくの弟をあんな目に合わせた手前 本当はお前を、ぶち殺したくてぶち殺したくて仕方ないんですよ。わたくし。」


隠し切れない殺意を向けながらオロニはサラールを睨んでいる。


「ですが…今この段階ではお前たちにお膳立てして貰いますよ。今は、ですがね。」


やれやれといった具合でオロニは はぁ、と溜め息を付く。


「全く、あの時お前に言われなかったらわたくし1人でこいつをぶち殺していましたよ。」


…ジャックに事前に止められていたらしいな。


「ごめんね、兄さん。助かるよ。」


苦笑いをするジャックを他所に、さっき蹴られてくたばっていたサラールが腹を抑えながらよろよろと起き上がる。

そして…。


「…せ…え、せ…返せ…返せ…!!!返せ!!!!ようやく!!!ようやく!!!手に入れられそうなんだぞ!!!薔薇の分際で人間の邪魔しやがるのか!?!許さねぇ、許さねぇ!!!!そう簡単に…そう簡単に!!!お前らに奪われてたまるかよ!!!!」


ようやく本性を見せたサラールは激昂しながら禍々しいオーラをその身に纏った。

黒魔導ってやつの影響だろうな。

本気で俺達の事を殺しにかかるのが目に見えている。


「諸君…分かっているね?どうやらあの人間君は相当しぶといようだ。君たちもあの男に何をされたかその身で十分味わっただろう。慈悲なんていらないよ、君たちの手であの人間君を懲らしめておくれ。…大丈夫、黒魔導を使ってくるとは言え相手は何の変哲も特徴もない ただの人間君さ。」


…もう後に引けない。

これで、やっと長い 長い旅が終わるんだ。

その為には…。

各自、色んな思いを抱きながら戦闘準備に入る。

武器を取り出したり軽く腕を伸ばしたり準備体操をする中、ジェンナはレイピアに触れながらそわそわとしていた。

…不安なのだろうか、思わず声をかけてしまう。


「ジェンナ…」


ビクッ、と肩が震えると俺の方を振り向く。


「…スヴァーレットさん?」


「お前は、今度こそ…今度こそ俺が守る。お前を守られせてくれなんて事は言わない、俺と一緒にご夫婦を守る為に戦ってくれ。」


「は…はい…。」


ぽぽぽ、とジェンナの顔が紅潮していく。

中々小っ恥ずかしい事を言ってしまいこっちも顔が赤くなりそうになる。

いかん いかん…今は”こっち”に集中しなくちゃならない。

パンッ、と両頬を左右の手で叩き気合を入れ直す。

さぁ…最終決戦だ。


「ダーズンローズの諸君。この目で見せて貰おうか、この旅で積み重ねてきた君達の実力を…ね。」


薔薇を求めるものは、その棘を重んじねばならない

視点…フォソル


「ふぅ…」


やはり呪術を除いた黒魔導を使えるだけあって空間異常を引き起こしたりと厄介でしたが、何とか沈められました。


「ア"………ッ…ガ、ガ…ァ"……」


…人間はゴポッ…ゲフッ…と血を吐き出しながら、ビクビクと体を痙攣させていますね。

毒や麻痺もふんだんに盛られていますし、もうこれ以上の戦闘の続行は不可能でしょう。

どんなに黒魔導が使えても所詮は人間、と言う言葉の意味がよく分かりました。


「諸君、お疲れ様!いやぁ最初の頼りなさそうな頃と比べると本当、見違えたね。」


戦闘を見守っていたジャックさんが出てきました。

ニュロさんとオロニさんも一緒にいます。


「じゃ、後は僕と兄さんに任せてよ。…ニュロはご夫婦と一緒に僕の薔薇庭園に避難してくれよ。」


「…ん。」


…あれ?てっきり自分達があの人間にトドメを刺すのかと思っていたんだけどな、違うんですね?ジャックさん達がトドメを刺すんですね!


「おっと、勘違いはしないでくれよ。…僕はこの手で人間君にトドメを刺したいだけだから。…分かったらさっさと転送される準備をしておくれ。」


…転送されてる準備?

…あ、さっきジャックさんは"ニュロはご夫婦と一緒に僕の薔薇庭園に避難してくれ"と言ってましたね…と言う事は、自分はこの目で人間が死ぬ瞬間を見れない!?


「…と言う訳だから、行くぞ。」


あ〜、見たかったな〜…どんな方法であの人間が殺されるのか…。

しかしどうしても一部始終が気になってしまい仲間達がぞろぞろと転送される準備をしている中 チラッ、とジャックさん達の様子を伺う。


「…さて!兄さん、ようやくこの人間君を好き放題出来るよ!やったね。」


「えぇ、えぇ!ようやくこの時を待っていましたよ♡!さて…」


オロニさんの顔から笑みが消え、無表情で人間を見下ろしている。


「お前が生きて罪を償う権利など最初からございません。わたくしが、お前をこの手でぶち殺して差し上げます。弁解なんて聞きたくないのでさっさとあの世送りにして差し上げます。…お覚悟は、宜しくて?」


人間はジタバタと藻掻いていますが、どう足掻いても逃げられる状態じゃないのでさっさと諦めて死んだ方が良いと思いますね。


「…ァ"……ァ"…………………!!」


それでも諦め切れず逃げようとする人間のお腹に何かが突き刺さります。

…あれは、大型のバールですね。

カヒュッ、と息を漏らしながら蹲る人間をジャックさんもまた見下ろしています。


「契約違反、ましてや僕の弱点を利用して危害を加えた罪は相当重いよ。…ふふ、楽に死ねると思わないでね、人間君?」


どこに仕舞っていたのかは分からないですが、ジャックさんは大型のバールを人間の腹にグリグリと押し込み始め、これから面白くなりそうないい所でニュロさんに耳を摘まれてしまった。


「痛っ……!?」


「ほら、君も行くぞ。このまま見ていても何も面白くない。」


ニュロさんがズルズルと自分を引き摺っていく。


「そんなぁ〜、もう少しだけいたかったです〜…。」


ニュロさんと仲間達は一旦転送されて、自分だけ見学で残るなんて事は周りが許してくれなさそうなので大人しく諦めますかね…。


「じゃあね諸君、また後で合流しよう。ご機嫌よう〜!」


ジャックさんの魔導で、自分達はジャックさんの薔薇庭園に転送されていきました。

…ここだけの話、転送される瞬間 あの人間が自分達に向かって"たすけて"と口をパクパクと動かしていたんですよ。

でも自分は見ていないふりをしたんですけれどね!

だって、死は一生で一度しか味わえない至高の出来事ではないですか!

あの人間には是非とも死へと誘われる感覚を味わって頂きたいんです!

なので、見て見ぬふりをしてしまいました…ごめんなさい。

…あ、仲間達には勿論、この出来事は内緒です。

_____________________________


あっという間に薔薇庭園に転送されました。

旦那様の方はキョロキョロと辺りを見渡していますが、奥様はついた途端一目散にノヴァーリスの低木に駆け寄りキャーキャー騒いでいますね…住んでいる所では中々お目にかかれない品種の薔薇があるからでしょうか。

しばらく奥様の様子を見ていた旦那様がおずおずとニュロさんに話しかけました。


「あ、あの…ここは…?」


「ここはジャックの薔薇庭園だ。色々と事が片付くまで君達もここにいてほしい。」


「はぁ…。」


答えを聞いても落ち着かないのか、旦那様はずっとそわそわしていますね。

しばらく薔薇庭園をぐるりと見て回った奥様は満足したのか、ようやく本題に入り始めました。


「あの…質問しても大丈夫かしら?」


…おそらく、来るであろう質問の内容は…。


「貴方達が私とアーテルの結婚式で使ったダーズンローズの花束なの?」


…でしょうね。


「えぇ…そうですよ。初めまして、と言うのもなんだか変ですが…茶薔薇のフォソルと申します。」


…やっぱり薔薇が人間になるなんてそんな現実味がない事、すぐには信じられないでしょう。

疑いの目を向けられるかもしれない、なんなら罵倒や暴言も有り得そうで…何を言われるのかドキドキします。


「…えーっ!!!すごーい!!」


…あれ?思っていた反応と違う?


「薔薇が人間になるなんて!なんてロマンチックなの!しかも私達の思い出の薔薇の花束が人間になって私達を探して旅をしていたなんて!素敵!なんて素敵なの!!まるで童話の世界みたいね!」


…思っていたより飲み込みが早くて助かった、ような気がします。

しかし…。


「あの、良いんですか?あの人間によると、貴方方はダーズンローズを乾燥してボックスに入れてどちらかが死んだ時に棺に入れて天国に持っていくって話していたんでしょう?でもそうなる前に自分達は人間になっちゃったんですよ?夢が叶わなくなっちゃったんですよ?」


あの人間が手紙で言っていた事が嘘じゃなければ、の話ですが…。

しかし、奥様は気にしていないようで。


「いいの!この子達とどんな形でもいいからお話出来たらどんなに嬉しいんだろうなぁ〜って思っていたからとっても嬉しい!」


…心から薔薇が好きな奥様らしいと言えば奥様らしい気がします。


「そうだ!今からみーんなで私とアーテルとお話しましょ?貴方達の事色々と聞かせて!ね、いいでしょ?アーテル?」


奥様は自分とたまたま近くにいたグレイスさんと腕を組み、旦那様に交渉しているようです。


「ビ、ビアンカが言うなら…君達は確か僕達を探して旅をしていたんだっけ?僕達に是非聞かせて欲しいな。」


旦那様もすんなりと今のこの状況を受け入れてくれるようだ。

それなら答えは一つ、ですよね!


「…はい!喜んで!」


さぁ、どんな話をしましょうか?

まずグレイスさんを紹介したいですし、改めて奥様と旦那様の事を知りたいですし、旅で起こった出来事も…話したい事が沢山あって迷ってしまいますね。

…ようやく、ようやくこの長い旅が終わったと今 やっと実感出来ました。

長かったような、短かったような…。

勿論、楽しい事ばかりではなかったですがそれも含めて良い思い出になりました。

…旅が終わると言う事は、仲間達とのお別れももう間近、という事になるんですよね。

きっと、奥様と旦那様と過ごさずどこか遠くへ行ってしまう仲間もいるでしょう。

…仲間がこうやって全員揃うのがあと少しとなると、寂しく感じますね。

奥様は、旦那様は受け入れてくれるでしょうか?

…それはそうと、やっぱりあの人間がどうなったのか少し気がかりですね。

はぁ、見たかったなぁ。

あの人間が、あの兄弟の手により死を迎えるその場面を、この目で。


_____________________________


「…ねぇ、兄さん。」


「あら、どうしました?もう疲れちゃいました♡?」


「…それもそうなんだけどさ、あの"元"依頼人君でもある人間君…どこかで見た記憶があるんだよ。どこかで見た覚えが…。…あ。」


「ジャック?」


「…思い出した。薔薇人間に関する魔導書のページの隅っこにあの人間君によく似た灰髪の青い瞳の魔導士の写真があったんだ。…もしかしてあの人間君は…だからあの人間君は…。」


「ジャック。」


「ん?」


「そんな細かい事はもうどうでも良くないですか♪?その魔導士とやらも、あの人間も、"もうこの世にはいない存在"ですもの♡」


「…そうだね。…日が暮れる前に僕達も帰ろうか。」


「えぇ♡…あ、その前に喫茶店で新作のケーキを買ってからでも良いですか?♪一仕事終えた後は甘い物が食べたくなるものです♡」


「良いね。じゃ、行こうか。」


「はーい♡」


薔薇を求める者は、その棘を重んじねばならない 終


5章 戦闘リザルト

※絵文字や会話文以外の()内などの一部の文は省いています。


①⚔️☠️


「…誰かと思ったらあの時の赤薔薇と青薔薇じゃねぇか。あれから元気してたかい?」


「あぁ、随分頭が冴えたとも、感謝するぞ人間。」


「…君がジャックに依頼をしたから私はこうして人間になれてエリューとも相棒になれた、だからこんな形で手を下すのは残念で仕方ない。」


「…あぁそうかよ。やれるもんならやってみろよ、友達ごっこなんてうんざりなんだよこちとら。」


▼ナイフを使い襲い掛かります。

▼1d100サイコロを使い43以上で攻撃回避、43以下で攻撃が当たります。


▼1d100=98

▼回避成功


「だ、そうだぞ、セアリ、このお人好しめ…」


▼軽い動きで攻撃回避しました。


「すまない…まだ迷いが捨てきれてなかってたようだな…;;」


「なんだ赤薔薇、今度はお前が青薔薇の為に犠牲になるか?」


▼様子を伺っています。


「あぁ、そう、その件で私は非常にムカついていてな、理由はまぁ放っておいて結構だが、とりあえず私の新薬をぶち込んでもいいか?」


▼注射器を構えます。


「……(防御)」


▼50以下で注射器がサラールに当たり、50以上でミスとなります。


▼1d100=29

▼攻撃成功


「ハハッ!私の作った毒の実験台になることを存分に誇るといい!」


▼上手い具合に刺さりました。


「……っ」


▼状態異常:毒になりました。


「…私もいかせてもらう。」


▼剣を構えます。


「あ〜…くっそ、解毒の解除方法は…」


▼49以上で攻撃が当たり、49以下で攻撃が外れます。


▼1d100=51

▼攻撃成功


「…斬らせてもらう。」


▼サラールの右肩を斬ります。


「…イ"…ッッ…あ、あった、前に調合したやつが…。」


▼解毒薬を懐から取り出します。


「!セアリ!その解毒薬を叩き割れ!」


▼解毒薬を打たせないように割ります。


「わ、分かった!!;;」


▼剣を構えて攻撃態勢に入ります。


「…これで…」


▼55以下で解毒され、55以上で解毒を阻止できます。


▼1d100=25①

▼阻止失敗①


「っ;;!!」


▼1d100=82②

▼阻止成功②


「十分だとも、私が何とかすればいい話だ、な!!」


▼メスを投げて解毒薬を壊しました。


「…クソ…」


▼解毒を諦めて左手で状態異常を招く魔導を唱えます。

▼15〜35は状態異常:混乱、65〜95は状態異常:幻惑、それ以外は魔導を唱えるのを防げます。


▼1d100=51

▼妨害成功


「ふむ、解毒を諦めてくれて助かるな。」


▼防げました。


「(1度距離を置かないとまずい…)」


▼23〜79を出すと煙幕で逃げられ、それ以外は煙幕を防げます。


▼1d100=2

▼妨害成功


「……おいまて、どこに行く気だ貴様」


▼煙幕防げました。 


「(煙幕も無理か…なら…)決まってるだろ、こうするんだよ!!」


▼空間異常:暗闇が発生しました。

▼今から2回行動するまでサイコロが10〜20の出目になります。


「おい、どこにいる!!;;」


▼適当に剣を振ってサラールの居場所を探ります。


「ここだ」


▼サイコロで2,8,12,18,22,33,46,78,79,84,95,99以外を出すとサラールに利き手を攻撃されます。


▼1d100=61①

▼回避失敗①


「(あ、しまっ…)」


▼1d100=68②

▼回避失敗②


「!!ッチ!」


「やっと隙が出来た」


▼2人の利き手に火炎魔法を浴びせます。

▼サイコロで0に数字が近ければ近い程、火傷が重くなります。


▼1d100=25①


「あ"っっっつつい!!;;;;あ"っ…イ"ッ……ッッ!!!!!;;;」


▼左手焼け爛れました。


▼1d100=9②


「うあ゛ッ!!?…〜ッ!…あぁ、クソが!セアリ!無事か?!」


▼右手焼けました。


「なんとか…って君の方が重症じゃないか!!?;;」


▼マント千切って手探りで右手らしき所に応急処置します。


「あ゛?!私のことより貴様の方を心配しろ馬鹿者!剣が振るえなくなったらどうする気だ?」


「左手がお釈迦になっても右手がまだある!!今からそれを証明してみせる!!;;;」


▼右手に持ち替えてサラールを攻撃します。


「ほーん…」


▼サイコロで35〜55が出れば貴方の攻撃が当たり、それ以外はミスとなります。


▼1d100=56

▼攻撃失敗


「あ"ー!!もうあと少しなんだが…!!;;」


「おっと…時間か。」


▼どちらも1回ずつの2回行動をした為、空間異常:暗闇が解除されました。


「!!;;」


▼マントを更に千切って右手を応急処置します。


「うぉ……おちつけセアリ貴様。はぁ〜〜、痛み止めくらい打っておけ馬鹿者め」


▼大人しく受けてこちらも手当てします。


「君の事しか頭になかった…はは、すまないな…;;」


▼大人しく手当てを受けます。


「じゃれ合いは満足か?」


▼様子見しています。


「じゃれてないわ馬鹿者が。貴様こそ、毒を追加される覚悟は出来たか?」


▼注射器を取り出します。


「残った手も始末するべきか…」


▼サイコロで60〜100で注射器が当たり、それ以外はミスとなります。


▼1d100=96

▼攻撃成功


「ハッ!空間異常も無ければ愚鈍な貴様には無理だろうよ」


▼ギリ刺せました。


「あ"〜〜っ、クソっ…クソっ…じゃあ……お望み通り…空間異常…してやら…」


▼状態異常:毒が重ねがけされました。

▼空間異常:吹雪になりました、サイコロの出目が20〜30になるかつこちらの行動を除いた2回行動以内にサラールに攻撃が当たらないと左足に凍傷が付与されます。


「チッ、異常に頼らんと何も出来ん能無しめ……」


「暗闇と比べればまだ見える方だが…どうする、どう攻撃するんだ?;;」


「あ?私を舐めるな貴様。風の速度なんぞ計算すればどうにでもなる。貴様はアレだけを見てまっすぐ攻撃しろ、援護はしてやる」


「分かった、善処はする」


▼右手で剣を構えます。


「無駄打ちだろうが…」


▼サイコロで10〜22、40〜50で攻撃が当たり、それ以外はミスとなります。


▼1d100=1①

▼攻撃失敗①


「…!!ダメだ、全然当たらない…このままだとまずいぞエリュー…;;」


▼1d100=20②

▼援護成功②


「援護はまかせろと言っただろう!」


▼後ろから試験管を投げました。


「!!」


▼空間異常:吹雪が解除されました。


「吹雪は収まったが…ここからどう攻め込もうか?」


「ふむ、試したいものがある、が、調合に時間がかかる、少し稼いでくれないか」


「時間か…よし、分かった!」


「(何をコソコソしているんだ…?)」


▼様子見しています。


「…少し私の相手をしてくれないか。エリューにこれ以上みっともない姿を曝け出すのは護衛騎士としていかがなものかと思ってな。」


▼剣を構え直します。


「おうおう、相手してくれんのか。良いぜ、楽しんでいこう。」


▼サイコロで10〜35、45〜76のいずれかで攻撃が当たります。


▼1d100=62

▼攻撃成功


「…言ったな?(とりあえず手を使えないようにしないとな…)」


▼左肩を斬りつけました。


「あー…両肩がダメになったな、これじゃ両手はもう上がらねぇわな。」


▼両手が動かなくなりました。


「まだかエリュー!!?!!;;」


「ん、今ちょうどできたところだ!さて、是非とも私の研究の糧となってくれ、サラールとやら」


▼高い腐食性の劇物であるピラニア溶液を使います。


「…ピラニア溶液…ダイヤモンドを除き大抵の物は数秒で溶ける劇物、か…。」


▼様子見しています。


「いや、人間にだけは使ったことが無くてだな、実験記録も書きたいし、貴様はモルモットにちょうどいい。」


▼隙を見て死なない程度の場所に試験管を投げます。


「(あー…当たったら間違いなくこれは…)」


▼サイコロで5〜25、85〜100が出れば当たり、それ以外はミスとなります。


▼1d100=59①

▼攻撃失敗①


「……!チッ、火傷のせいで手元が狂う……」


「!!やっぱり火傷させて正解だったな!その隙に解毒を…しないと…持たないな…」


▼逃げようとします。


▼1d100=18②

▼妨害成功②


「まだだ、まだ終わってない!!また時間を稼げばいけるか、エリュー!?」


▼逃げないようにサラールの右脚に剣突き立てます。


「!!稼がずとも予備はある!そのまま抑えていろ!」


▼再度試験管を投げます。


「クソ…クソ…!!!;;」


▼サイコロで10〜35、55〜79が出れば当たり、それ以外はミスになります。


「さぁ!せいぜいいい結果を出してくたばってくれ」


▼死なない程度の場所に当たりました。


「あ"……が…ガ……」


▼完全に動けなくなりました。


「もう動けなさそうだが…こういうのって魔導を唱えられないように口も封じておいた方が良いのか?;」


「ん?、そうだな、、……ちょっと患部を記録してからでもいいか?」


「分かった、君が終わるまで剣は突き刺したままにしておくぞ。」


「……(記録中)……………………………………ふむ、助かった、もういいぞセアリ。復活されると厄介だ、さっさと終わらせてしまおう」


「口を塞ぐならやっぱり布か何かだろうが…それとも口を封じる毒とかもあったりするか?」


「ふむ、麻痺毒ならある。舌に直接差し込めば副作用でまともに喋れんようになるだろうさ」


「よし、では万が一の為に私は後ろから抑えていよう。」


▼万が一を考えて抵抗出来ないように後ろから抑えて顔を固定しました。


「……貴様は時に容赦無いな、、まぁ私にとっては助かるが」


▼注射で麻痺毒を刺します。


「ア"……ァ"……!!!;;」


▼15〜25、32〜42,51〜61、82〜92のいずれかで麻痺毒が作用され、それ以外は毒がうまく回らずミスとなります。


▼1d100=52

▼作用成功


「チッ、暴れるな貴様、全く最後まで手を妬かせる……」


▼上手く刺さりました。


「……ッ……!!;;」


▼喋れなくなりました。


「これで終わりだよな……はぁ〜〜っ疲れた…とりあえずジャックの所で火傷の治療するぞ、エリュー」


▼抱っこして立ち去ります。


「はぁ…………(何故抱きかかえる必要があるんだ……)」


▼と思いつつ抵抗せず持ち帰られます。


▼弱体化成功。


◀Chapter4.5 Epilogue▶